第3章 愚かな傍観者
その日から毎日悪夢が続いて、毎晩椿は気が狂った様に叫び続けた。
そして、自分には分かっていた。
アレは悪夢なんかでは無くて、自分の未来だ。
殺された感触も。
直哉に触れた感触も。
憎しみも愛も全部体に刻まれている。
初めて『悪夢』を見た夜に、椿は見たことが無い丸い小さなガラス玉を握っていた。
椿はそれが夢では無いと、自分に警告しているように思えた。
それが、1年を過ぎた頃。
椿の発狂は精神的な病気と片付けられて、薬を投薬するまでになった。
まだ僅か6歳の頃だった。
その時にはもう、椿の心はボロボロだった。
少し前まで、可愛い物が大好きで、自分の周りは全て可愛い服や小物で溢れかえっていた。
『可愛ええな、椿。』
「っ!!」
椿は頭の中で直哉の声がそう聞こえる度に、かつて好きだった自分の物を壊していく。
禪院直哉……。
そう、まだこの頃は名前も知らない男だった。
今はハッキリとその顔まで浮かんでくる。