第3章 愚かな傍観者
直哉が居なくなった後、椿は呪霊に襲われた。
『ィたぃ…イタイ…。』
『オィしィ、オイシイ。』
グチャグチャと自分の体が果てていくのが分かる。
見えない何かに体中を弄ぶ様に壊されていく。
「ああああー!!ぁぁあー!!」
目が見えなくなって、耳が聞こえなくなっても死ねなかった。
体中が捩れる様な痛さの中、椿は痛みから逃れられずに、ゆっくりと死んでいった。
そんな『夢』を5歳の時に見たのだ。
発狂しながら起き上がった幼子を、最初は両親も心配し、懸命に看護した。
それは夢で悪夢だと言っても、椿は信じなかった。
信じられるはずが無い。
自分の体がぐちゃぐちゃに崩れた痛みも恐怖もしっかり残っていた。
まるで、一度死んで、過去に戻ったかのように、記憶は鮮明に残っている。