第3章 愚かな傍観者
禪院直哉はその後すぐにその本性を表した。
いつもあれだけ椿に囁いていた愛の言葉は、他の女性にも向く様になった。
その現実に直面した時に、椿は直哉を強くなじったのだった。
「何で他の女と寝るの?!」
そんな言葉を顔を歪ませて投げかけられて、直哉は心底面倒くさそうだった。
だけど、そこで直哉は笑顔になって、甘い声を出す。
「せやかて、あの女の方がいい案件回してくれるんやで?俺が相手してその案件がくるんやから、仕方あらへんやん。」
それで納得しない椿の顔を見て、直哉は必ず言う。
「俺がホンマに好きなんは椿だけだから、我慢しとき。」
そう言われても、抱かれても全然納得いかなくて、椿は更に直哉に尽くす。
何よりも禪院家を優先して、より良い案件を自ら直哉に渡す。
その椿を見て、直哉は満足そうに笑うから。
もうそうするしか出来なかった。