第1章 五条悟の婚約者
そう……。
この場で最も尊重されるべきは、当主に就任した五条悟では無くて。
五条悟の婚約者である『伊集院椿』である。
何故なら。
伊集院家こそが五条家の1番のスポンサーなのだ。
「はぁ…ぁっ……悟さんの様な方の側に居るのが…あっ……あんな女だなんて……。」
………頑張るなぁ…。
どんなに唇を滑らせても、口から椿への批判が漏れてくる。
誕生日と言う特別な日に、こうして悟の相手をしているのが自分だと言うことに、とてもご満悦の様だ。
どんなに白ける事を言われても、悟もその行為をやめない。
服を脱がせ、触れた女の乳房に抑えきれない興奮が沸き起こる。
この抱いていて気持ちのいい体は、この後さらに自分を快楽に落としてくれると知っているから。
悟が夢中になって、女の体に顔を埋めているまさにその時。
部屋の襖がスッと開いた。
悟が驚いて顔を上げると。
目が合ったのは。
女の口紅が唇から頬にかけて付いている、間抜けな姿の悟を見下ろす。
椿の能面の様な、冷たい目だった。