第1章 五条悟の婚約者
今日は五条悟の誕生日兼当主祝いだ。
普段は本家には寄りもしない悟が、今日ばかりは素直に従った。
悟は女に地味と言われた、椿を思い返す。
黒のパンツスーツで、髪を1つに結いていつもの能面の様な顔で上座に座っていた。
久しぶりに会う悟に、愛想笑い1つしない女だった。
「…それにあの子の横に居た……んっ…。」
流石にしつこい女の陰口に、悟は唇で黙らせる。
その先は聞かなくても簡単に思いつくことが出来る。
昔から椿の側にずっといる犬っころ。
『一条昴』
華やかに祝う席で、格式が1番高い椿が異様な雰囲気で上座に座っている。
その椿の後ろに同じように表情の無い顔で立っているのが、一条昴だった。
「椿さん、ごきげんよう。」
「ごきげんよう。五条さん。」
五条家の人間が次々と椿に声を掛けている。