第2章 イかれた婚約者
最後はそう力無く言った椿の言葉に、悟はゆっくりと振り返った。
そして、懇願して自分を見上げる椿の顔を見て確信した。
この女はどうやら、自分の事は本当に好きでは無かった様だ。
問いただしたかった事実はこんな事だったのだろうか。
目眩がする様な感覚に、今すぐにその手を振り解いても良かった。
悟は目隠しを取って、椿を見下ろした。
「…18歳の誕生日の時に、結婚を先延ばししても僕の事が好きで待ってたんじゃ無かったのか?」
目隠しが取れて、見れた悟の顔にはしっかりと怒りが感じられた。
「……ええ……、貴方が好きだから待ってたのよ…。」
悟の怒りを感じで慌てたように放った言葉だった。
すぐにその言葉が嘘だと分かる。
今まで散々、自分に愛を囁く女性と時間も情事も重ねてきた。
その彼女達の眼差しのかけらも、椿からは情慕の心は見られない。