第2章 イかれた婚約者
「………………。」
しばらく椿は黙っていて、悟は椿が話し出すのを待っていた。
「……悟と結婚したいのは、私の『お願い』よ。」
『お願い』
その言葉を聞いて、悟は昔椿が指を指して、自分を名指しにした時の事を思い出す。
アレはお願いじゃ無くて、命令だった。
だけど…、椿のその目に迷いは無かった。
「…貴方の女性関係は知っているし、私はそこは気にしていないわ。」
椿のその言葉に、目隠しの奥の瞼がピクッと動いた。
何が気に入らないって、そうして悟に無関心の椿が1番気に入らないのだから。
「…本当に僕の顔だけが好みで結婚したい訳?」
笑ってそう言ってはいるが、悟がイライラしているのは椿にも分かった。
自由に生きている悟を縛り付けるのだから、この位の苛立ちを受ける事は予想が出来ていた。
椿は悟が苛立っている理由を、そう捉えたのだ。