第2章 イかれた婚約者
グッとまた、椿の顔を掴んで、悟は椿の唇に自分の唇を押し付けた。
初めての婚約者とのキスは、お互い目も瞑らずに、感動的なモノでは無かった。
顔を顰める椿を見ながら、悟は更に椿の唇を割って舌を押し入れた。
流石に、悟のそのキスを拒絶する様な馬鹿な真似はしなかった。
だけど体を反らして、逃げる様に椿の手は背中にある机を掴んでいる。
まるで悟を跳ね除けたいのを我慢する様に、掴んでいるその手は力強く机を掴んでいた。
その椿の顔と手を見ていると、後ろから殺気が感じた。
すぐに昴の短刀が抜き出されると、悟は自分に向けられている刃先を軽く避けた。
昴の短刀は椿と悟の唇を離すのに成功すると、悟は目隠しを取って昴を六眼で見た。
「引っ込んでろよ、犬っころ。」
そう言って部屋全体に繰り出された『無量空処』
掴んでいた椿以外が対象なその領域に、昴の動きが止まった。