第2章 イかれた婚約者
まるで海外の映画からセットをそのまま持って来た様な高級住宅街。
その一角に伊集院家があった。
町全体の景観を保つ為に、この地区に家を建てる事は厳しく規制されている。
その選び抜かれた町並みに、悟は何度か足を踏み入れた事がある、伊集院家に入って行く。
「……五条さん……ここはどちらなんですか?」
敷地内に入っても、庭が広すぎて、エントランスまで車を走らせる。
伊知地は、今まで踏み入れた事の無い世界に、ガタガタ震えている。
「僕の婚約者の家。」
「?!」
サラッと答える悟に、伊知地の肩が跳ねた。
悟に婚約者が居たことなんて、初耳だったからだ。
エントランスに到着すると、車を降りて、伊知地にもう帰っていいと伝える。
伊知地は悟の言葉を聞くと、すぐに車を走らせた。
すぐに遠くなる車を見送ってから、悟はエントランスに目を向けた。
メイド服を着た、ハウスキーパーに目を向ける。