第9章 よくない変化
悟が指定した場所は都内のホテルだった。
暗黙の了解で、今夜は一緒に泊まるのだと椿は分かった。
悟と一緒なら、今夜も悪夢を見ないかもしれない。
そんな期待に少しだけ胸が躍った。
悟は仮面の中にも、椿の機嫌の良さを感じた。
自分に好意が無いはずなのに、一緒に住みたがり、一緒に夜を明かすことを望む椿の気持ちが分からない。
だけど、自分に無関心だったから、能面だったと思っていた彼女の、少しの表情の変化が最近分かるようになった。
怒っている時、喜んでいる時。
同じ表情でも今では見分けがつく。
悟は浮気がバレた時の椿を思い返した。
無表情で悟を見下ろしていた椿の中にも、今あの時に戻ったら、その少しの表情の変化を感じることが出来たかもしれない。
椿は自分に対して無関心だったかもしれない。
だけどまた、悟も同じように彼女に無関心だったと気が付いた。
部屋に入った時には、外はもう暗くて、二人が入ると間接照明が薄く部屋を照らした。