第8章 視えない悪夢
「…いちいち僕の癇に触れるの好きだな。」
二言目には椿の名前を口にする昴に、悟の片眉が上がる。
悟は大きなため息を吐いて、その小さな怒りを消化した。
「高専にも、御三家にも属さないのはお前の勝手だからいいけど、僕はお前のその能力や気力が呪術界に向かないのは勿体無いと思うけどね。」
昴は別に呪術師になりたかった訳ではない。
分別もつかない幼い頃に、無理やり椿によって、その能力を開花させられたのだから。
それでも悟は、昴が椿の側に居る以上に、彼の存在が無価値同然になってしまうのも残念だと思った。
「お前や僕みたいに、他人より優れた能力を持ってしまったなら、人より出来ることをするのも使命だとおもうよ。」
昴は悟から目は逸さなかった。
どうしようもない自分の主君を思い返す。
自分は何の為に、椿がなにを望んで自分を側に置いているのか、実はよく分かっていなかった。
願うのはいつも、あのイカれた主君から、早く解放されることだけだ。