第8章 視えない悪夢
「そうだ。僕さぁ、少し前から禪院家の子供も預かってるんだよね。お前と一緒の十種影法術の使い手。」
悟の言葉に、珍しく昴の視線が揺れた。
その少しの興味を悟は逃さなかった。
「だいぶ呪力が安定してきたから、そろそろ調伏の儀も教えたいんだよ。お前が見せてやってよ。」
そこまで一気に話して、悟はサングラスの隙間から六眼を覗かせた。
「 魔虚羅を調伏させたお前の領域展開。」
「……………。」
悟は表情を変えない昴を注意深く見ていた。
高専や御三家に属さない昴は『野生の特級』だ。
悟は常に椿の側に居る昴を監視していた。
彼が知る限り、昴は椿の側に居る間で術式を使ったことはない。
この術師を野放しにしておくには、その術式は脅威だった。
何事にも感情を動かすことなく、椿の側に居続ける男を鬱陶しく思いながらも、その術式は眠らせておくには惜しい存在だ。
「…俺は椿さんの許可無しに術式は使えません。」