第8章 視えない悪夢
ジッと自分を見てくる悟に、そんな心情を見透かされた気がして、昴は珍しく悟から目を逸らした。
そんな昴を黙って見ていた後、悟はおもむろに口を開いた。
「椿は僕と暮らすことになるから、そのつもりで準備しておいて。」
悟の言葉に昴は驚愕したように目を見開いた。
あり得ないと思った。
あの椿が、悟と一緒に住むなんて。
「…随分と急ですね。」
「そろそろ高専の東京校に専任することになるから、忙しくなる前に椿のことは色々片付けておきたいんだよ。」
「…五条家の当主が高専に専任?」
椿と一緒に暮らすということよりも、あり得ないと思った。
高専に属さない呪術界の御三家。
その当主が高専に属するなんて、五条家が認めるはずがない。
「椿との結婚も、高専に専任する前に済ますことになるな。」
その言葉を聞いて、昴は彼が高専に入学する際に、五条家から元服の儀が条件だったことを思い出した。
二人の婚姻は恋愛事情なんてお構いなしに、どこまでも政略的だと感じた。