第8章 視えない悪夢
昴の話を聞いて、悟は昔の椿を思い出した。
初めて会った時から、いつ会っても椿は黒い落ち着いた服を着ていた。
女の子が好きそうな飾りもなく、襟元までしっかり隠れてる服。
制服を着る頃になると、椿はいつも制服を着ていた。
お嬢様学校と言われるような、清楚な髪型に清楚な服。
垢抜ける年頃になっても、禁欲的とも言えるその服装に、悟は彼女を魔女だと比喩していたことを思い出した。
そんなに熱心に母校に併設された教会に通っているなら、今までの椿の言動も少し納得ができた。
しかし、信仰心から禁欲的に過ごしていたというには違和感もあった。
何故なら、椿はキスもSEXも初めてではなかった。
体は純潔だったが、それだけはハッキリと分かる。
椿のキスも仕草も、間違いなく男を知っている所作だった。
そう考えた時に、悟は胸の奥に不快感が広がり、やはり目の前の昴をジッと見た。
「……お前は一緒に行かないのか?」