第8章 視えない悪夢
そうすまして言っている椿に、昴は小さく息を吐いた。
お昼を過ぎた頃に、悟が椿を屋敷に連れてきた時、彼女は慢心喪失の状態でグッタリと悟に抱かれて入って来た。
その一方で、悟の満足そうな顔を見た時に、二人の時に何があったのかは、お察しといったところだ。
今も体を庇って、仕事をしている椿を見て、昴はさらに大きく息を吐いた。
しばらくすると、椿はパソコンを片付けて、出掛ける用意を始めた。
昴はいつも通り、彼女に付き添おうと側によると、椿は昴を一瞥して言った。
「…あなたは来なくていいわ。」
そう言って、椿は昴を執務室に残して重たい扉を閉じた。
いつもどこへ向かうのも昴を連れていく椿が、彼を置いて出掛けることはたまにある。
そうして出掛ける場所は、いつも同じ場所だった。