第1章 五条悟の婚約者
伊集院家と、五条家での公約で、お互いの誕生日を一緒に過ごすと言う決まりがあった。
椿が決めた規約に、今まで悟は、その約束を破る事は無かった。
16歳の自分の誕生日の日に。
悟は初めて椿以外の女性と過ごした。
約束された待ち合わせのレストランで。
椿は1人でその場に居た。
付き人には、五条家から引き取ったばかりの『一条昴』を同伴させて。
約束の時間を過ぎても現れない悟に、椿は目を細めた。
悟の誕生日の為に、悟が好きなレストランを貸切にした。
椿の好きなクラシックが店内に流れて、目の前の空席の主役を待っていた。
時間が刻一刻と過ぎていくと、椿より周りが慌て出すのが手に取る様に分かった。
「……大丈夫……。」
そう言って、ジッと悟の席を見つめる椿に、昴はゾクっとした。
その正気の無くなった様な表情で、ただ空席の悟の席を見つめる椿に。