第7章 慕情
浴室に着くと悟は椿をゆっくりと降ろした。
椿は大人しく浴室まで着いてきたが、やはり何か言いたそうな目線を悟に送っている。
「…入って。」
悟はニッコリ笑って椿の視線を無視した。
『あなたと一緒に寝る結婚生活なんて考えて無かった。』
一言でもそんな事言ってみろ。
僕の機嫌がこれ以上ないほど悪くなるだけだ。
「……………。」
流石の椿も、悟の無言の牽制を感じ取ったようで、何も言わずに濡れた服を脱いだ。
椿の白くて細い背中が露わになった時、悟がソワソワし始めた。
「やっぱり一緒に入…。」
ピシャリー。
悟が言いかけている間に、椿は浴室の扉をサッサと閉めた。
椿は湯気が立っている浴槽の奥の窓を見た。
頑張れば出れないことはないけど、裸で出ていくなんて考えられない。
悟は……。
ずっと脱衣所で待っているようだ。
(…変な人…。なんで今さら一緒に居ようとするのよ。)