第7章 慕情
いきなり抱き上げられて、椿はビックリしたように悟の胸元を掴んだ。
「…やっぱり先に風呂入ろう。」
そう言って悟は椿を横抱きにしたまま部屋を出た。
さっきまでどんなに暴れても通れなかった部屋を簡単に出れて、椿は唖然とした顔で悟を見上げた。
「…そうだよ。僕と一緒なら部屋から出られる。」
「…まるで、あなたと一緒じゃないと部屋から出す気はないって聞こえるわね。」
椿がそう言うと、悟は肯定するように笑みを浮かべた。
「…なんでこんなことをしているのか聞きたいんだけど。」
腕の中で大人しくしているようで、この状況には納得していないのが分かる。
「結婚する二人が一緒に住むのになんの問題もないだろ?」
「はぁ?」
淡々と言う悟に、椿は思わず聞き返した。
「ちょっと待ってよ。一緒に住むとしても色々準備があるでしょ?!」
「準備?そんなの必要ない。ベッド一つあればこと足りる。」