第7章 慕情
そこでやっと、椿が今日初めての行為だったということを思い出した。
「…痛かった?」
急に体を気遣うような素振りを見せる悟に、椿は眉間に皺を寄せた。
今更なんだというのか。
執拗に体を貪ってきて、『好きだ』と言う言葉すら強要し、こんな場所に監禁まがいのことまでしている。
今になってしおらしくされても、許すことなんて出来ない。
「…別に…、我慢出来ないほどの痛さじゃないわよ…。」
非難したいことは沢山あるのに、何故か口から出たのは彼の負担を軽くする言葉だった。
行為の最中、悟が椿の体を気遣っていたのは知っている。
我慢が出来ないと言いながら、無理矢理押し込まれることはしなかった。
椿は気まずくなって、悟から目を逸らすと自分が握りつぶしていたペットボトルに目をやった。
顔を俯かせた椿をしばらく見ていた悟が、ゆっくりとベッドから降りて近付いてくる。
椿の目の前に来ると、悟は少し屈んで、椿の膝裏と背中を抱き上げた。