第7章 慕情
悟がそう言った背後で、ドカンと大きな音が隣の部屋から聞こえる。
楽しくなるはずないだろう。この状態で。
昴は思わずこめかみに手を当てた。
「早く帰れよ。乱れてる椿を見過ごしちゃうじゃないか。」
椿に会いにいけないことに、悟がイライラしてきたのが伝わってきた。
それが椿が怒っている姿を早く見たいという馬鹿げた欲求だということも。
「……………。」
ああ…。
付き合ってらんねぇ…。
昴は無表情のままスクッと立ち上がった。
そして徐に悟の脇を抜けて部屋から出て行く。
(もういい。付き合ってらんねぇ。こんな破綻カップルに。)
どうせ悪夢に発狂する椿を見たら、安定剤を欲するに決まってる。
どのみち椿の屋敷に戻ることになるのだ。
そう思いながら、昴はチラッと悟を見た。
悟は満足そうな笑みで昴を見送っている。
昴から普段聞くことない暴言が呟かれ、そのまま五条家を出て行った。