第7章 慕情
「…何がしたいか知らないけど、あの人を治そうとか言うなら無理な話だよ。あの人の周りで呪霊なんて見たことも無いのに毎晩呪霊に殺されるって発狂して暴れるなんて頭がイカれている以外あり得ないだろ。」
この状況を馬鹿馬鹿しく思っているのだろう。
昴は首元に手を当てながら、ため息をつくようにそう言った。
「…帳を降ろしたことは?」
そんな昴に悟もまた腕組みをしたまま、態度を変えずに昴に問いかける。
悟の言葉に昴は一瞬ハッとしたが、またすぐに表情を戻した。
「…いるはずが無いんだよ…呪霊なんて…。」
ずっと椿の側に居て、一度も彼女にまとわり付く呪霊の 気配なんて感じなかった。
「薬だって仕方ないだろ。落ち着かせなきゃ自傷し始めるんだ。」
その言葉は悟に伝えるというよりも、自分に言い聞かせているようだった。
椿は非術師でそもそも呪霊なんか視えないのだ。
全て狂った彼女の頭の中で作り出された妄想だ。