第7章 慕情
どうやら叫ぶのを諦めて、今度は手当たり次第部屋の中の物を投げている様だ。
悟はそんな椿の行動に顔を顰めているように見えた。
「……あんなのは発狂じゃない…。ただの癇癪だ。」
まさかあの程度で引いているのか…。
昴はわざわざこんな所で監禁紛いのことをして、この程度で顔を顰めている悟に呆れながら言った。
昴のその言葉に、悟は眉を歪ませて昴の方に目を向けた。
「その椿のことはなんでも分かってますって態度、腹が立つんだけど。」
「は?」
腕を組んで突拍子もないことを言ってくる悟に、昴は思わず声が漏れた。
本当に腹たしい…。
僕は能面のような椿しか知らない。
こんな風に怒って癇癪を起こすなんて、想像すら出来なかった。
悟の浮気現場を見た時でさえ、眉一つ動かさなかった女だ。
あの時にこのくらい感情的に怒鳴ってくれたら。
こんな風に悟を怒らせることもなかったろうに。