第6章 狂気の月
「……やだ……悟…っ。」
ゆっくりと自分に向かって歩いてくる悟に、椿は後退りをした。
「……なんて顔してるの?」
まるで悟に殺されそうに怯えている椿に、悟は低い声で呟いた。
そして椿の腕を掴んで椿を抱き上げる。
「……ねぇ…。全部見せてよ。」
悟は顔を晒す椿の頬を掴んで自分に向ける。
「椿が何を隠しているのか、僕に全て見せて。」
「…悟っ!何処行くの?!」
横抱きにされ、部屋を出ようとする悟に椿は叫んだ。
そして部屋に残された昴を不安そうな顔で見た。
「騒ぐなよ。隣の寝室に行くだけだから。」
何故部屋を変える必要があるのだろうか。
すぐに部屋に着くと、悟はその中に椿を放った。
落とされて一瞬椿は顔を歪める。
そしてゆっくりと顔を上げて、自分が入れられた部屋を見渡した。
真っ暗な部屋の中は、薄っすらとベッドなどの家具が見える位だ。