第6章 狂気の月
「隣のドアがトイレで、お風呂は遠いけど僕が連れて行ってあげるから。」
「…………………。」
――――何を言ってるの?
「…私泊まらないよ、仕事もあるし……。」
泊まらせるなら悟の部屋だろう。
何故こんな薄暗くて何も無い部屋に置かれるのだろうか。
凄く嫌な予感がした。
「…椿はしばらく帰れないよ。」
そう言った悟の顔を見ているはずなのに、暗くてその表情は分からなかった。
しかし、薄っすらと見えた悟の口元が笑みを浮かべていたのを、椿は見逃さなかった。
「嫌よ!帰るわ!」
椿が立ち上がって悟の方に向かって歩いた時に。
見えない壁にぶつかった。
「?!」
いくら手を伸ばしても、部屋の外に居る悟には届かなかった。
「…帳……結界みたいなモノだよ。」
そう言って悟は部屋の中に入って来た。
椿は悟の脇から部屋に出ようとするが、やはり部屋から出られない。