第6章 狂気の月
悟がそう説明して椿は納得した。
『禪院家にバレない様に、昴を育ててくれ。』
そう言ったのは椿自身だったからだ。
「………………。」
結界のせいだろうか。
屋敷は中に入っても薄暗く、悟が手を引いてくれないと椿は歩けなかった。
(……ここに昴が居るの?)
夜に灯りもついていなく、真っ暗な廊下を歩いて、椿は不安な気持ちになった。
「…さぁ…どうなってるかな…。」
しばらく廊下を歩いて、襖の前で悟は止まった。
「……どう言う事?」
悟に握られている手に、自分の手から汗が出るのが分かった。
悟がゆっくりと襖を開けた。
悟越しに部屋の中を覗いたが、真っ暗でよく分からなかった。
「!!!!!」
それは急に椿の視界に入ってきた。
畳の部屋に置かれている1つの椅子。
その椅子には誰も座っていなくて、椅子の下に黒い物体があった。
その黒い物体から、黒い液体が広がっていて、それが血だと言う事に気がつくのに随分と時間を要した。