第6章 狂気の月
何がそんなに楽しいのか……。
椿はそんな悟をギロッと睨んだ。
「僕のシャツ着てればいいよ。」
そう言われて被された悟の服は、シャツだけだ。
下は何も履いていない状態が、すぐにこの家を出ろと言っていたわけではない事を知らせる。
それでも膝上までシャツの裾があったから、何も着ないよりマシだと思った。
そんな格好でも、悟は椿がシャツを着ると、その手を掴んで部屋を出た。
五条家の悟の部屋を出ても、家の中には誰も見当たらなかった。
人が居ない訳でも無い。気配はあった。
自分の格好が想像つくから、椿はそのまま誰にも会わない事を願った。
それより、目の前に居ない昴の事が気になって仕方無かった。
五条家の屋敷を離れて、少し歩かされると、更に小さな屋敷を見つける。
「?」
その屋敷に近付いた時、ある距離を越えると、椿は妙な違和感を感じた。
「…ここは犬っころがうちに住んでた時に使っていた屋敷だから、周りは結界を張っている。」