第1章 五条悟の婚約者
そうしてたまに、椿は昴の様子を見に来て。
約束通り、16歳の誕生日に一条昴を迎えに来た。
「ありがとう悟。」
椿は昴を見た後に、悟に言った。
いつもの能面の顔で。
「もっと感謝の気持ちを表して貰いたいねぇ。」
禪院家に秘密にして『十種影法術』を完成させるのは大変だったんだ。
昴は結界の中に閉じ込めて生活させた。
不自由な環境でも、何も不満を言わずに、ただ悟の訓練を受けていた昴に、不快感は積もっていった。
そして今では、その呪力を隠す術を身に付け、椿に預かっていた犬っころを返すのだ。
正直清々した。
昴がなんの文句も言わずに、悟の鍛錬を受けていた事。
それは全て椿の為の行動が、悟の癇に障ってたのだ。
何処かの女子校の制服を着て現れた椿を見て、悟はため息を吐いた。
「とても感謝しているわ。」
改めて悟の目を見て、椿は言ったが、その表情は全く変わらない。