第1章 五条悟の婚約者
そして椿はと言えば、たまに五条家に来て、昴の様子を見ていた。
どんな生活環境なんかは微塵も気にしていない。
椿が気にしていたのは、昴の術師が何処まで伸びているかだった。
「……悟…昴は強いの?」
「強いだろね、俺には敵わないけど。」
僕がそう言うと、椿は満足そうに口角を上げる。
気分が良くなかった。
僕の結婚相手だというのに、会いにくる口実はいつも『一条昴』だ。
ブスっと機嫌が悪そうにする悟に、椿は顔を覗き込む。
「どうしたの?」
急に目の前に、椿の顔が近付いて、悟は慌てて仰け反った。
「近けぇんだよ、離れろ。」
顔を赤くして、不機嫌そうに言う悟に、椿は嫌な顔をして離れた。
自分でも顔が赤くなったのが分かる。
椿にそれを気付かれたく無かったのだ。