第5章 独裁者
それに関して悟を制した事は無かった。
椿が望んでいたのは、24歳の誕生日を生き抜く為に、禪院直哉から守って貰う為の夫だったからだ。
五条家が子供を欲しがっているのであれば、悟の妻としての責務は果たすつもりだった。
伊集院家の恩恵の為の婚約だから、勿論禪院家では無く五条家に全てを与えてきた。
全てはその結婚の後に離婚があり。
自分の人生はその後に取り戻せると思っていたからだ。
その為に、1人でも生きていける様に地盤を作っていた。
椿は組んでいた腕に力を入れた。
誤算だったのは、五条悟がこんなにも自分に執着している事だ。
(……貴方はそんな人じゃ無かったでしょう…。)
椿は夢で見ていた悟を思い返していた。
禪院直哉に執着していた夢の中で、五条悟は決して椿に干渉しなかった。
彼の生き様はとても分かりやすく、椿が知っている限り、誰か特定の女性に執着した記憶も無かった。