第5章 独裁者
五条家では無く、禪院家に伊集院家の恩恵の全てが渡った時でも、五条悟は何も影響を受けてはいない。
当たり前の様に呪術界の頂点に立ち、その立ち位置が揺らいだ事は無かった。
そう……。
五条悟にとって伊集院 椿は、存在しなくてもしていても、『どちらでも良い存在』のはずだった。
(それがまさか…自分の部屋に招き入れる所まできてるとはね…。)
椿は苦笑しながら目を歪ませた。
しかし、禪院直哉を殺そうと考えたら、このまま悟を涼介するのも悪くない。
この時はまだ、椿は悟を懐柔出来ると思っていた。
「お待たせ。待った?」
襖を開けて悟が笑いながら部屋に入ってくる。
その悟を見て、椿もまたニッコリ笑った。
悟は椿が笑っている事に機嫌が良さそうだ。
そのままの笑みのまま椿の前まで歩いてくる。
ゆっくりと自分の元に歩いてくる悟に、椿はこの後気がつく事になる。
目の前の男は自分以上に『イカれた婚約者』だったと。