第5章 独裁者
「反転術式を上手く使えよ…。じゃなきゃ…死ぬぞ…。」
そう昴に告げると、そのまま悟は血を流す昴を置いてその部屋から出て行った。
さて次は。
僕のイカれた婚約者と話し合いだ。
悟は椿が待つ部屋に笑みを浮かべながら歩いて行った。
小さな頭で椿が考え、今回のことを見誤ったと言うなら、悟の性質だろう。
椿が思っていたよりずっと。
悟は独裁者で、椿の思い通りには動く事はないのだ。
(……悟の部屋……ね…。)
婚約をして17年。
この部屋に入ったのは初めてだった。
椿が自覚する限り、悟とはこうしてプライベートな時間を過ごす2人では無かった。
一体悟に何があったのか。
最近の彼の行動を椿は思い返す。
悟の恋愛事情は、椿が望んだ通り、椿以外の女性が相手だった。