第5章 独裁者
「…僕はまぁ…お前だって小さい時から面倒見てるし、それなりに情だってあるわけよ…。」
部屋の中からゆっくりと姿を表す悟に、昴は体を引いた。
「だけど……恨むなら椿を恨めとしか言えないけどね。」
珍しくサングラスの悟が、その六眼を昴に見せた。
もうそうなったら、その六眼を使われたら昴に争う術など無かった。
痛めつけられていた体はすぐに悟に捕まった。
昴の体を掴むと、悟はゆっくりと昴を椅子の上に座らせた。
「……試してみようか……。」
体を拘束されて椅子に縛り付けられた。
振り解けないのは、悟が放った『無量空処』のせいだった。
たった数秒まともに食らっただけで、昴の体はダランとその身を悟に任せる。
そんな昴の耳元で悟は囁いた。
「椿にとって、お前がどんな価値のある犬っころなのか。」
そしてスッと、昴の首元にナイフを突きつけると、そのままナイフを引いた。
ボタボタと昴の首元から血が流れた。