第5章 独裁者
「…はぁ…昴…、週末には五条家に付き合ってね…。」
そう言って椿は昴の手を握った。
昴は知っている。
その椿の行動は決して昴に対しての慈悲では無い。
それでもまぁ、コレに拒否権は無いので昴は従うしか無い。
今度は殺されるかなぁ。
今日の悟を見て、昴はそんな風に思った。
昔からあの人の目は。
椿が絡む時だけその光が変わる。
扱かれたと感じる思い出の時は、いつも椿が来た日だったから。
慣れたというには、痛すぎる仕打ちだった。
そして週末の五条家……。
久しぶりの訪問だった。
悟の浮気を目撃した、あの日以来だ。
車から降りる椿の横には、まだ痛々しく包帯を顔に巻き付けている昴が居た。
椿は有言実行でそんな昴を本当に連れて来た。
「…お連れ様はこちらで……。」
椿は初めて昴から離された。
こんな事は今まで一度も無かった。