【ヒロアカ】Until You Live【爆豪勝己】
第2章 【一巡目】
「え……、でも、お祝いしたいなぁ……」
透がしょんぼりと肩を落とし、悲しそうな顔をする。
その顔を見た瞬間、爆豪の口からチッと大きな舌打ちが漏れた。透に対してではない。彼女のそんな表情一つで容易く揺らいでしまう、自分自身への苛立ちだった。
「……わかった。起きててやる」
折れた。あっさりと、何の抵抗もできずに。彼女のあのしょげた顔を、もう二度と見ていたくなかっただけかもしれない。
爆豪は溶けたアイスをスプーンで小さく掬いながら、ぼそりとぶっきらぼうに付け足した。
「ただし、部屋の前までだ。中には絶対に入れねぇからな」
「やったぁ!」
透は、弾けるような笑顔で嬉しそうに微笑んだ。
それからの時間は驚くほど早く、過ぎ去っていった。
爆豪はやたらと落ち着かない様子だった。共有スペースで透が芦戸に「買いたい物あるから一緒に出かけたい」と話しているのを小耳に挟んだ瞬間、すべてを察して一人口角が上がるのを必死に隠していた。
授業、昼休み、訓練、夕食、入浴。日常の歯車は何事もなかったかのように正確に回り続け――そして、ついに四月十九日の深夜がやってきた。