【ヒロアカ】Until You Live【爆豪勝己】
第2章 【一巡目】
それから一〜二時間後。完成したバニラアイスを爆豪が器へと盛り付けた。
ガラスの器にこんもりと綺麗に丸く盛り付けられ、スプーンが添えられている。不格好ではあるが、ちゃんと二人分だ。
「溶ける前に食え」
「わぁーー! いただきます!」
透は一口頬張ると、パァッと目を輝かせた。
「おいしぃ……!」
爆豪は自分のアイスにはまだ手をつけないまま、両頬をリスのように膨らませて食べる透の姿を、ただじっと見つめていた。
中学時代から料理の腕は折り紙つきで、周囲からの評価も高かった。けれど、今この瞬間に目の前の彼女から告げられた「おいしい」は、そんな過去のどれとも全く違う、胸の最も深い場所に静かに響いた。
爆豪は、ようやくスプーンを手に取って一口口に運ぶ。
「……まあまあだな」
しばらくして、透が思い出したように問いかけてきた。
「爆豪くん、誕生日っていつ?」
アイスを口に運ぼうとした爆豪の手が、一瞬だけピタリと止まる。
「……四月二十日」
「え!? 二日後じゃん! 」
驚いた透の手から、スプーンがカランと音を立てて落ちそうになる。
「まぁ、入学してその月の誕生日は、みんなバタバタして忙しいから流れがちだよね……」
透は少し考える素振りを見せた後、ふふっと嬉しそうに笑った。
「……じゃあ、私が高校で一番に、爆豪くんの誕生日を知ったわけだ」
スプーンが器の底をカチンと叩いた。
「別に、知ったからってどうってことねえだろ」
そう口では素っ気なく言いながらも、『高校で最初に誕生日を教えた相手が透である』という絶対的な事実が、爆豪の胸の奥でじわりと温かく広がっていく。