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【ヒロアカ】Until You Live【爆豪勝己】

第1章 .


共有リビングには他のクラスメイトも何人か残っており、賑やかな空気が漂っている。芦戸がテレビの前で騒ぎ、上鳴がそれに絡んでいた。
夕陽が大きな窓から差し込み、フローリングに二人の長い影を落とす。

「美味しそー。一口ちょーだい?」
透は首をコテンと傾けた。

途端に、爆豪の眉間のシワが深くなった。缶を持つ手がピタリと止まる。
『飲みかけを渡す』という行為の意味を脳が高速で処理してしまい、またたく間に耳まで赤が広がった。

「はあ!? ふざけんな、自分で買って来い!!」

缶を遠ざけるように腕を伸ばすが、動揺のせいで距離の取り方が雑になり、結局透との顔は近いままだった。

爆豪の心拍数は明らかに跳ね上がっていたが、それを悟られぬほど器用に感情を隠せる男でもない。テレビの前からこちらを見ていた上鳴が「お?」というニヤついた顔をして、瀬呂に肘で突かれている。

「ちぇー。残念」
透は茶目っ気たっぷりに笑うと、そのまま冷蔵庫の方へ姿を消した。新しい缶を片手に共有スペースに戻ってきた時には、もう麗日と楽しげに談笑を始めている。

爆豪はジンジャーエールに口をつけながら、横目でその光景をじっと追った。麗日と楽しげに笑う透。あの笑顔が自分に向けられたものではないというだけで、腹の底が酷くざわつく。

ガン、とテーブルに缶を叩きつけるように置いた。
近くにいた切島がびくりと振り返ったが、爆豪はそれ以上何も言わず、自室へ続く階段を乱暴な足取りで上っていった。二階の踊り場でようやく足を止め、壁に荒々しく背を預ける。

天井を仰いで、深く息を吐き出した。
「……クソが」

自分でも、何がクソなのか分からなかった。ただ、あいつが自分以外の誰かと笑っているだけで、どうしようもなく落ち着かない。そんな自分が、何より腹立たしかった。

授業中も、寮生活中も、あの白い髪が目に入って仕方がねえ。どうしても、どんな時も、意識がそちらを向いてしまう。

爆豪がこのいら立ちの本質――彼女への恋心を自覚するまでに、長くはかからなかった。
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