【ヒロアカ】Until You Live【爆豪勝己】
第2章 【一巡目】
透は少し残念そうに、しょんぼりと頷いた。
「ん……、そーだよね。爆豪くんも休まないと」
振り返って俯いた透のつむじを見下ろし、爆豪は小さく息を吐く。
「……アイスぐらい、俺が作ってやるから。帰るぞ」
仕方がないなという風を装ってはいたが、その声は、自分でも驚くほどどこまでも優しかった。
透はパァッと顔を輝かせた。
「作れるの!? すごい!! 食べたい!」
無邪気にはしゃぐ透から不器用に目を逸らし、爆豪は先に歩き出す。
「大したもんじゃねえ。卵と砂糖がありゃ作れんだろ」
手作りのバニラアイスに必要な材料。透がアイス好きなのを記憶していたからこそ、昨夜わざわざスマホでレシピを調べたのだ。
二人は寮への道を並んで歩いた。夕焼けが空を真っ赤に染め上げ、二つの影がアスファルトの上に長く伸びていく。街灯がぽつぽつと点き始めた。
学校から近い寮にこのまま直帰すれば――あのコンビニに寄らなければ、事故現場の交差点を通ることはない。そこを通りさえしなければいい。ただそれだけのことだ。
爆豪は無意識のうちに、己の歩幅を狭めていた。
隣を歩く、小さな足並みに合わせるように。まるで、体に染みついた愛おしい癖のように。