【ヒロアカ】Until You Live【爆豪勝己】
第2章 【一巡目】
爆豪の熱の入った指導に、透は必死になって食らいついていく。
二時間が経過した頃には、グラウンドBの地面にいくつもの焦げ跡と水の染みが残されていた。気がつけば、夕日が大きく傾き始めている。
爆豪は息の上がっている透を見やり、手元のタオルを無造作に投げつけた。
「今日はここまでだ」
前回なら「まだやれるだろ」と追い込んでいたはずだった。だが今、空は不吉な橙色に染まり始めており、あの事故が起きた時刻が刻一刻と近づいている。ここで切り上げなければ、すべてに意味がなくなる。
爆豪はさりげなく透の横に並んだ。帰る方向が自然と同じになるように。
「寮戻んぞ」
「今日はありがとう……! ねえ、コンビニでアイス食べに行こうよ。私、奢るよ!」
透が笑顔で提案してきた。
その瞬間、爆豪の足がピタリと止まりかけた。アイス。この流れも、前回と完全に同じだ。そしてその帰りに、彼女はトラックに撥ねられた。
「いらねえ。疲れてンだろ、さっさと帰って寝ろ」
爆豪は即座に拒絶した。前回の自分なら「しょうがねえな」と渋々ついて行ってしまった。アイスを食べて、日が暮れて、そしてあの魔の交差点に辿り着いたのだ。同じ轍は、二度と踏まない。