【ヒロアカ】Until You Live【爆豪勝己】
第2章 【一巡目】
だが、爆豪の喉元まで出かかった「やらねえ」という拒絶の言葉は、ぐっと内側に飲み込まれた。
「……」
爆豪は、無言のまま缶をすっと差し出した。手が微かに震えているのを悟られないよう、膝の上に置いた左の拳に痛いほど力を込める。
「えっ、ありがとう!」
透は驚きながらも嬉しそうにそれを受け取り、一口飲むと、爆豪の隣の椅子に腰掛けた。――流れが変わった。
「爆豪くん、どこの中学出身なの? 私ねー、暦中学!」
「……折寺」
目線を合わせないまま、短く答える。前回はしていなかった会話のラリー。透は「折寺かあ」と呟いて、どこか聞き覚えがあるようなないような、という顔をした。
爆豪は戻ってきた缶を受け取り、口をつける。間接キス、なんてくだらねえ概念が頭をよぎり、即座に激しく振り払った。
共有スペースでは相変わらず上鳴と瀬呂が騒いでいるが、窓際の二人の空間だけは妙に静かだった。初対面の距離感にしてはどこか近く、けれどそれ以上は踏み込まない、絶妙な間合い。
「折寺ってことは、緑谷くんと同じ中学?」
本を開き直しながら、ページを捲る透。
距離感を慎重に測りながら、爆豪は答えた。
「あぁ」
「へー、じゃあ幼馴染ってやつだ! なんかいいね、そういうの」
「いいね」と言われて、爆豪の眉間に深い皺が寄った。あのデクとの関係が、良いものだとは到底思えなかった。
「よくねえよ。あんなクソナード」
その声は、純粋な苛立ちというよりも、どこか複雑な響きを含んでいた。