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【ヒロアカ】Until You Live【爆豪勝己】

第2章 【一巡目】


入学初日の全課程が終わり、日の落ちかけた寮の共有スペース。

そこには数人の生徒が集まっていた。初日の緊張が解けたのか、あちこちで会話の輪ができている。キッチンからは誰かが淹れたコーヒーの香りが漂い、ソファでは上鳴と瀬呂が早速スマホを突き合わせて笑い合っていた。

その共有スペースの端っこ、窓際のソファに透が座って本を開いていた。周りの賑やかな空気を楽しみつつも、少しだけ距離を置いているような、彼女らしい位置取り。

寮に帰ってきたばかりの爆豪は、共有スペースに透の姿を見つけてピタリと足を止めた。本を読んでいる横顔。彼女特有の紅茶の香りの気配。

数秒の逡巡の後、爆豪は自販機に向かった。ガコン、と重い音を立てて缶が落ちてくる。辛口のジンジャーエール。それを持って、透から少し離れた一人掛けの椅子に腰を下ろした。

(本当に時間が巻き戻っているのならば、きっとこの後は――)

「爆豪くん。何飲んでるの?」
本を小脇に抱えた透が、横からひょっこりと爆豪の顔を覗き込んできた。

覗き込まれた瞬間、一瞬だけ肩が跳ねる。爆豪は反射的に顔を背けた。

「見りゃわかんだろ。ジンジャーだ」
前回と全く同じ流れだった。あの日、透が一口くれとねだったのを、拒否したあのやり取り。記憶がないはずの透が、前と全く同じように話しかけてくる。偶然か、それとも運命の収束か。

缶を傾けながら、横目で透の様子を伺う。小脇に抱えた本の表紙がちらりと見えた。紅茶に関する本だ。付箋が何枚も几帳面に貼られている。

「美味しそう! 一口ちょーだい?」
前とまったく同じ角度で、彼女は首をコテンと傾けた。

爆豪の心臓が、嫌な跳ね方をする。同じだ。あの時と完全に同じ。
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