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【ヒロアカ】Until You Live【爆豪勝己】

第1章 .


透の部屋の前に着く。爆豪は足を止め、ドアを見つめたまま動けずにいた。ここで別れたら、今夜が終わる。
ドアを開けた透に背を向けながらも、終わってほしくない、と願っている自分自身に、心底腹が立った。

「……おい」
振り返らないまま、声を絞り出す。

「明日、放課後空けとけ」

「え?」

やはり振り返らない。だが、首筋まで真っ赤に染まっている。

「訓練だっつてんだ!テメェ個性の使い方雑なんだよ、見てらんねえ。俺が直々に指導してやるから、ありがたく思え!」

早口だった。誘うための言い訳を用意する暇もなく言葉を並べたせいで、論理が支離滅裂になりかけている。

暗い廊下で、爆豪の背中がガチガチに強張っていた。返事を待つ数秒の間が、人生で一番長く感じられる。

透は、嬉しそうに破顔した。
「ん、わかった。よろしくお願いします、爆豪せんせー」
おちゃらけたように言って、後ろから上着を手渡す。

「これ、ありがとう。おやすみ」

『爆豪先生』という言葉に眉が跳ね上がりかけたが、口元が微かに緩むのを隠せなかった。渡された上着を受け取る指先が、一瞬だけ、また透の肌に触れた。

「先生じゃねえ……クソ」

それだけ吐き捨てて、足早に自室へ向かった。角を曲がった途端、爆豪は上着に顔を埋める。部屋に漂っていた、あの紅茶の香りと、彼女のかすかに甘い匂い。あまりの愛おしさに頭を抱えたまま、その場にずるずるとしゃがみ込んだ。

心の中で、何度も透の声が反響している。明日の訓練のメニューなんて、本当は一つも考えていなかった。
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