【ヒロアカ】Until You Live【爆豪勝己】
第1章 .
テレビがエンドロールに入り、静かなピアノの旋律が流れ始めた。だが、二人はもう画面など見ていなかった。繋いだ指先の温度だけが世界の全てであるかのように、暗い共有スペースの中で、互いの存在を確かめ合っている。
ようやく爆豪が口を開いたが、出てきた言葉はいつもの彼らしくないほど、どこかぎこちなかった。
「……寝るぞ。もう遅ぇ」
そう言うものの、手は繋いだままだ。立ち上がる気配すら一向にない。
透は名残惜しげな顔で、爆豪の方を向いた。
その表情を見て、爆豪は繋いだ手を引いて立ち上がった。力加減は驚くほど優しかった。
「部屋まで送る」
それだけ言って、歩き出した。決して振り向かない。振り返ったら、自分の顔を見られてしまう。今の自分の顔は、絶対に誰にも見せていいものじゃなかった。
「……ありがとう」
透は借りていた上着を丁寧に畳み、爆豪の後ろに続く。
深夜の寮は静まり返っていた。二人の足音だけが暗い廊下に響き、等間隔に配置された常夜灯が、足元に橙色の光を落としている。繋いだ手はいつの間にか離れていたが、離れた指先には、まだ互いの体温が熱いほどに残っていた。