SW異銀河から落ちてきた言葉の通じない謎の親子を保護しました
第4章 襲撃、それからタイムリミット
三月の夜風が、古い家の窓を静かに揺らしている。
居間のローテーブルの上、ディンが必死に稼いで買ってくれた新しいタンスの木肌が、電球の光を優しく弾いていた。
ディンはフードを深く被ったまま、コタツの中でじっと動かない。
グローグーが小さな手で彼の親指を握りしめたまま、眠そうに頭を揺らしている。
(……きっと、すごく迷ってるんだよね)
星子はコタツの向かい側で、じっとディンのヘルメットの黒いバイザーを見つめていた。
あの日、白い装甲の男たちに襲われた時、彼は迷わず自分を背中に隠して守ってくれた。
その時に見せた油断のない動きや、彼らが背負ってきた過酷な運命を思えば、元の世界に戻ることがどれほど危険なことかは想像に難くない。
それに、この一ヶ月間、近所のおじいちゃんたちのために泥だらけになって必死に働き、自分のために新しい家具を買い直してくれたディンの誠実さが、星子の脳裏に焼き付いていた。
彼はこの優しくて静かな日本の日常を、本当に大切に思ってくれているのだ。
「ディン」
星子は静かに声をかけると、棚から愛用のスケッチブックとペンを取り出した。
三人が出会ったあの夏の日から、ずっと三人の間を繋いできた、大切な道具だ。
星子はペンを走らせ、さらさらと一枚のイラストを描き上げた。そこには、緑川市ののどかな青空と、ひまわりの花が咲く景色の中で、超特大のパーカーを着て穏やかにグローグーを見守っているディンと、その横で、大好きなサツマイモをお腹いっぱいに食べて楽しそうに笑っているグローグーの絵が、とても温かいタッチで描かれていた。
星子は、そのイラストをディンの前にそっと差し出した。