SW異銀河から落ちてきた言葉の通じない謎の親子を保護しました
第4章 襲撃、それからタイムリミット
玄関は綺麗に直った。
しかし、粉々にしてしまった上質なタンスとローテーブルはそうはいかない。
ディンは次に、スマートフォンに詳しい近所のおじさんの家へ相談に赴いた。
実はおじさんは、ディンが昼間の畑仕事の手伝いの合間や休憩時間に、タブレットの操作方法を熱心に教わっていた「師匠(シショウ)」とも呼べる存在だった。
ディンが星子に隠れてタブレットを完璧に使いこなせていたのは、昼間のそんなささやかな師弟関係があったからだった。
ディンは画面で以前と似た家具を探し出し、ポケットから数枚の千円札を取り出して見せた。
だが、おじさんは画面に表示された桁の違う数字を指さし、静かに首を振った。
「ディンさん、これじゃあ全然足りないよ。一日や二日働いた程度じゃ、とても買えないくらい高いものなんだ」
おじさんの言葉を聴き、ディンは黒いフードの奥から、地を這うような低い声で一生懸命に日本語を紡いだ。
「……分かっている。俺が壊した。だから、俺が全部払う。シショウ、仕事はないか。きつい仕事でも、構わない。たくさん、働かせてくれ」
おじさんはその真剣なバイザーの奥の光に圧倒され、
「……わかったよ、ディンさん。みんなに声をかけて、力仕事を集めてみる」
と力強く頷いてくれた。
自分のせいで恩人の家財を失わせたままにするわけにはいかない。それが彼のプライドだった。
そこから、ディンの寡黙で泥臭い挑戦が始まった。
二月から三月にかけての、一年で最も底冷えする季節。
ディンは超特大の黒いパーカーを泥だらけにしながら、近所の農家のおじいちゃんやおばあちゃんたちの元へ通い詰め、冬の過酷な力仕事の雑用を一手に引き受けた。
毎日黙々と、一言の文句も漏らさずに、人並み外れた怪力で働き続けた。そして一ヶ月後。
ディンは分厚くなった封筒を大きな手袋で握りしめ、おじさんに付き添ってもらって近所のコンビニのレジへと向かった。
初めてのセミセルフレジに、慣れない手つきで紙幣を支払い、ついに新しい家具を注文したのだ。