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あのLIVEは夢でも現実でもない

第1章 この気持ちを表す言葉を、私は持っていない










『『『『ありがとうございました!!!!』』』』











そう言って、手を繋いで声を出してくれるステージ上の彼ら。


私が大好きなアイドル達。


ずっと好きだった友達も、忙しくて推し活離れちゃった仲間も、最近知った人も、きっと彼らの姿を見て、感じてる気持ちは違うかもしれないけど、この空間が大好きって想いは一緒だと良い。





















「....よ゛か゛っ゛た゛ね゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛....!!!」
「ねー、ほんとに、最高だったね」

そう言って涙で顔をぐしゃぐしゃにしている友人。
私も涙する場面はあったけれど、隣にもっと泣いている人が居ると、途端に冷静さが出てくるから、ヲタクって不思議。
これはヲタに限ったことでは無いか。



「ずびっ........うぅ....まだ、語り足りないけど、明日も仕事だ....!」
「うん、また喋ろうね!」


バイバイー!

そう言って手を振った友人と、反対方向へ歩いていく。
余韻冷めやらぬ気持ちで、スマホを触ると、今日の感想をみんながネットに上げているから、ずっと目で追ってしまう。


あの場所が、あの時間が夢じゃなかったことを実感したくて、忘れたくなくて、そこにしがみついてしまう。


そして画面上には、みんな同じ気持ちの仲間がいっぱいいて、ニヤニヤしてしまう。





「....終わっちゃったかぁ」





そうポツリと呟いて、急に周りが暗くなった気がした。

これが、燃え尽き症候群か?うーん。ライブロスだなぁ....。

本気でそう感じられる自分と、どこか冷静な自分を同時に感じて、苦笑い。





結局、現実なんてすぐにやってくる。

めんどくさい仕事が無くなった訳ではない。嫌いな上司とは明日も会うし、手のかかる後輩からは、休みの間にミスしちゃいました~なんて連絡が来た。

さっきまでの楽しかった気持ちは、たった一言で沈んでいく。
こんな後ろ向きになる自分は、嫌いだ。


そんな気持ちをどうにか切り替えたくて、また画面を見つめて歩き続ける。
そしたら、ドンっと、何かにぶつかってよろけてしまう。


ついでにスマホを落として、慌てて拾い上げる。




ふと見上げれば、会場近くの電柱に激突していた。
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