第8章 8
店内2人になる。
BGMだけが流れてとても静かだ。
ふと外に目をやる。
来た時よりも降る雪の量が増えたようにみえた。
雪が降ると思い出す。
あの時もこんな雪の降る時期で、東京にしては珍しく少し積もっていた。
落ち込んでいた私に、研ちゃんとじんぺーくんが小さい雪だるまをたくさん作って並べて笑わせてくれた。
あの時なんであんなに落ち込んでいたのか、もう覚えてはいないけど、雪だるまを作って励ましてくれたのは何年経った今でも覚えている。
「…柚希さん。」
「…はい?」
「また、考え事ですか?」
「あっ、はい。また幼馴染のことを思い出していました。雪が降ると不意に思い出すんです。」
「とてもいい思い出なんですね…。柚希さんとても優しい顔をされていますから。」
そういうと安室さんは優しく微笑んだ。
「はい、とても大切な思い出です。」
私も微笑み返した。
「…あっ、そうだ。…もうすぐクリスマスですね。」
「ええ。」
「この調子だとホワイトクリスマスかな。」
「その可能性高そうですね。」
「安室さんは…、クリスマスはアポロにいますか?」
「え?はい、いますが…。」
「あっ、あのべつに深い意味はないんですよ!」
少し焦りながら伝える。
「ふふっ。深い意味はないんですね。」
「はっ、はい!あの、そのクリスマスも来てもいいですか?お客さん多いなら別の日にします。」
「いえいえ、来ていただいてかまいませんよ。お待ちしています。」
私は胸を撫で下ろした。
………よかった…。これでクリスマスにプレゼントが渡せる。