第8章 8
「今日は求人サイト見ないんですか?」
「あっ、いつも見てましたもんね。でも今日は見ないです。」
「そうなんですね。」
「はい、今日はただ普通にポアロに来てゆっくりミルクティーを飲んでリラックスしたかっただけなんです。」
「…リラックス出来ていますか?」
「はい!もちろんです!それに今日はお客さん少ないって言ってたからたくさん安室さんと話せて嬉しいです。」
安室さんは一瞬目を丸くしたがまたすぐいつもの穏やかな笑顔に戻った。
「そういっていただけて光栄です。」
「ふふっ。安室さんを独り占めなんて贅沢ですね。」
「………。」
安室さんは一瞬目を伏せてから小さく笑った。
………独り占めなんて言い方気持ち悪かったかな…。わっ、話題を変えないと…。
「あっ、そうだ!私、久しぶりに安室さんのハムサンドが食べたいなって思ってたんです。お願いしちゃってもいいですか?」
「もちろんです。」
「よかった。よろしくお願いします。」
「でも独り占めはおすすめできません。」
「へ?」
「他の方の接客ができなくなってしまいますから。」
安室さんは冗談めかした軽い口調で言った。
………変に思われてなくてよかった。
私は胸を撫で下ろした。
「ふふ、たしかにそれは困りますよね。」
そう言って2人でくすくすと笑った。