第7章 7
「あっ、そうだ…。」
安室さんは何か思い出したようにカウンターの中に入っていった。
少しカウンターの中で作業をした後お皿を片手に戻ってきた。
コトリと私の前にはフォンダンショコラが乗ったお皿が置かれた。
「え…。」
「ささやかですがお祝いです。」
………私のために…?
「…いいんですか?」
安室さんの優しさに目の前がすこし滲む。
「はい」
そういって安室さんは柔らかく笑った。
「では、ごゆっくり。」
そう言って安室さんはバックヤードに入っていった。
「安室さん…、ありがとう…。」
きっと安室さんには聞こえてはないと思うけど。
私は少しの間安室さんが入っていったバックヤードの扉を見ていた。
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その後私は安室さんが出してくれたフォンダンショコラを楽しんだ。
フォークで一口大に切り口に運ぶ。
とろりとしたチョコレートが口の中に広がる。
甘さがじんわりと染みて、心まで溶けていくようだった。
やっぱり安室さんはスイーツ作りの天才。
フォンダンショコラに添えられた生クリームといちごとの相性も抜群で、飾り付けまでプロ級だった。
………美味しい…。ポアロに来れてよかった。
あっという間に食べ終わってミルクティーを飲む。
甘いフォンダンショコラを食べたのでミルクティーは甘くなかったけど、それとも合う。
幸せな気分のまま、いつものように研ちゃんとじんぺーくんにメールを送る。
すぐにメールは返ってくる。
いつも通り未達メールとして。
でもいつもより沈んだ気持ちにならない。
そのことがすこし前を向けた証拠のように思えた。