第7章 7
「お待たせしました。」
数分して私の前にミルクティーが置かれた。
「安室さんありがとうございます。」
私はカップを両手で持ち上げた。
私も安室さんも黙ったまま、ポアロのお客さんの話し声とBGMが耳に入ってくる。
不思議と沈黙も気まずくなかった。
先に口を開いたのは安室さんだった。
「柚希さん。」
「はい?」
「さっきのこと考えてましたか?」
「あっ…。」
思わず言葉に詰まってしまった。
「梓さんに元警察官だと話したことです。」
「あはは…。そんなにわかりやすかったでしょうか…。」
「ええ、少し。」
安室さんは困ったように笑った。
「そっか…。さすが安室さん。」
私はミルクティーを一口飲んだ。
「さっき、もし理由聞かれたらどうしようって思ったんです…。でも、もしかしたら言えるかもしれないとも思ったんです…。」
「そうなんですか…。それは嬉しいですね。」
「前だったら絶対無理だって思ってたんですよ。」
カップを一度ソーサーに戻して両手を握った。
そして話を続けた。
「きっと言えるかもって思えたのは安室さんに話を聞いてもらって受け止めてもらえたからだと思うんですよ。」
「そんな、僕は話を聞いただけです。」
「それでもです。私にとってはすごく大きな事でした。ありがとうございます。」
私は安室さんにぺこりと頭を下げた。
「柚希さんが前を向こうと頑張ったからですよ。でも僕が少しでもきっかけになれたのならよかったです。」
安室さんは微笑んでくれた。
私も自然と笑顔になれた。