第2章 2
side 安室透
カウンターに戻りハムサンドの後片付けをする。
カウンターのお客さんはあのあとすぐに会計をして帰り、梓さんも後片付けを終わらせてカウンターの中に入ってきた。
「可愛い女の人がすごい美味しそうにハムサンドを頬張ってるの見ると幸せな気分になりますよね。」
「確かに、美味しそうに食べてくれると嬉しいですね。」
ハムサンドを頬張っている彼女をじっと見る。
彼女はこの前萩原と松田の命日にお寺ですれ違った子だ。
あの日は公安の仕事の後アポロだったからあの時間しか行けなくて、まさか人と出会うとは思わなかった。
まぁ、気づいていたとしても誤魔化すことはできるけど、いろいろ言われるのも困るから気づいてなくてよかった。
あの時のすれ違いざまの彼女はどこか憂いを帯びているような表情に鼓動が高鳴った。
彼女から一瞬目を逸らした。
……でも僕はゼロだ。
ふぅーっと大きく深呼吸をした。
彼女はすでにハムサンドを食べ終わり、ミルクティーを飲んでからスマホでメッセージを打って机にスマホを伏せる。
数秒後、スマホが鳴る。
画面を見た瞬間、彼女は肩を落とした。
しばらくスマホを見つめたあと、小さくため息をつき、窓の外へ視線を移す。
僕は静かに彼女の元に向かった。
「ミルクティーのおかわりはいかがですか?」
side 安室透 end